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2018年2月23日金曜日

精神病質者(サイコパス)の脳内構造

■精神病質者(サイコパス)の脳を調査していたファロン氏


http://goo.gl/AWDsjU

神経科学者のジム・ファロン氏は、精神病質(サイコパス)の脳内構造を調べていたところ、自分がその脳に酷似した持ち主であることが判明し、自らを研究対象として扱い、精神病質と犯罪性に関連した研究を続けたそうです。

ファロン氏は「正常な脳」、「連続殺人魔で統合失調症患者の脳」、「鬱病患者の脳」、「その他の精神障害の脳」などの脳をPET(ポジトロン断層法)にて何千もスキャンし、その違いを比較し続けました。

結果、精神病質者の脳にはそれぞれ特徴的な性質があるという結論に達し、皮肉にもその特徴が自分の脳にも当てはまるという事実も知ってしまいました。

ファロン氏によると、「私は今まで誰かを殺したり、レイプしたことはありません」と発言しています。家庭を持ち、研究者として充実した日々を送るファロン氏にとって、凶悪的な犯罪行動は無縁のように思えます。

このことからファロン氏は「前頭葉・側頭葉の欠陥が精神病質を特定し、殺人行動に影響する」という従来の考えに異を唱えました。

しかし、脳の遺伝子検査により「攻撃性」「暴力性」「低い共感性」などの危険率が高い対立遺伝子の持ち主であることが発覚。

脳の構造、遺伝子の観点、また先祖の犯罪歴からファロン氏が精神病質(サイコパス)であることが明確となってしまったのです。

■TEDの内容を抜粋


殺人者と連続殺人者の脳を一人ずつ見ていったところ、共通点がありました。眼窩前頭皮質に損傷があったのです。眼窩前頭皮質とは、目のすぐ上で眼窩と側頭葉の内部のことを言います。調査した全員に損傷がありましたが、損傷はすべて少しずつ違いました。他のタイプの脳の損傷もありました 鍵となるのは、主な暴力的な遺伝子、MAO-A遺伝子の影響です。
暴力的な遺伝子は、正常な人にも存在します。皆さんの中にも、この遺伝子が存在しています。この遺伝子は判性遺伝子で、X染色体上に存在します。母親からのみこの遺伝子は受け継がれます つまり、こういう理由でたいていの場合、男性が精神異常の殺人者になるか、もしくは攻撃的になるのです。娘は父親から1つのX染色体を、もうひとつのX染色体は母親から受け継ぐので、遺伝子の影響が弱くなります。しかし息子の場合、母親からしかX染色体を受け継ぐことができないのです。
こうして母親から息子に遺伝子が受け継がれます。発育中、脳のセロトニンに非常に関係があります。セロトニンは、人を落ち着かせたりリラックスさせたりする効果があるとされているので、とても興味深いですね。しかしこの遺伝子があると胎児の脳がセロトニンに浸されます。そのため脳全体がセロトニンに反応しなくなるのです。その後の人生において機能しなくなります。

この内容から、脳内のセロトニンが凶悪犯罪と深く関わっていることが理解できます。普通の人間は怒りや不安、ストレスなどを感じた時にセロトニンが放出されるため、重度の興奮状態に陥ることがありません。

しかし脳内物質に異常があると、セロトニンの分泌不足が起こったり、セロトニンがいつまでも脳内に残ってしまうため異常な状態が続きます。それらを引き起こすハイリスクな遺伝子がこの世には存在するというのです。

■脳の構造や遺伝子だけでは解明できない第3の要素


…では、ファロン氏は脳内構造、遺伝子の観点からも精神病質者としての要素を満たしているのに、なぜ凶悪犯罪を起こさないのでしょうか?

重要なのは「環境」であるとファロン氏は提唱しています。

「環境」とは幼少期における体験を指しています。幼いときに家庭で精神的や身体的な虐待を受けるような環境で育った場合、脳の構造欠陥、遺伝子の影響による条件がすべて揃い、サイコパスが発動するとのことです。

ファロン氏はこれを「三脚スツール(脳、遺伝、環境)」理論と名付けています。

この内容から、精神病質の脳を持つ人が全て凶悪犯罪に走ることはないと結論できます。ファロン氏の経歴から考えても、脳の構造や遺伝子だけで精神病質者を特定するのは危険です。

いくら精神医学や学問が進歩しても、最後に人を救うのは幼少期の「愛情」「思いやり」による経験なのですね。
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